与作ツアーの話の後半です。こちらからお読みの方は下の前編からお読みください。
切り倒したばかりの株をさわってみるとしっとりとしていました。 含水計で水分量を測定すると100%前後でした。つまり木と同じ重さの水分を含んで いるということです。伐採した日は11/18で「伐り旬」と呼ばれる時期です。伐り旬は 10月から1月の間で一年間で一番木が地面から水を吸い上げる量が少ない時期で その時期の木は内部に水分が少ないため「切る(伐る)のに旬な時期」ということにな ります。一番水分を含んでいる時には含水率は300%に達するそうです。水分量の 多い木材は「グリン材」や「ずぶ生材」などと呼ばれています。市場でも売られていま す。またその含水率を落とすために乾燥機に入れて「機械乾燥」と呼ばれる方法で、 無理矢理木の中から水分を抜く方法もとられています。機械乾燥には「低温」「中温」 「高温」などの温度差があり高温になるほど短時間で乾燥が終わります。しかしそれ だけ無理矢理水分を抜くために木材の中に巣ができて強度が劣ることもあります。 左の写真は切り倒す前の木の強さ「ヤング係 数」を計っている状況です。以前は木材にして からでなくてはヤング係数は計測できません でしたが、近年立木のまま計れる計測器が発 明されました。赤い矢印の部分に装置を取り付 けて上部の装置をハンマーでたたくとその波動 が下の装置に伝わりその伝わりかたを計測し て立木の強さを計っています。今回の計測で数 値は「110」と出ました。ヤング率が110です。 通常の杉のヤング率は50~70程度です。桧 が90程度ですのでこの杉は桧よりも強い木材 となります。要望があれば先にヤング率を計っ てから自分の家の木を切り出すことも対応して くれるとのことでした。良い家を建てる為に一度 木材の産地に訪れてみることも良いことですね。 伐採見学を終えて最初の広場に戻ると昼食の用意ができていました。 用意していただいたのは暖かい「猪汁」「サンマ」「椎茸」などで、山の上はすこし肌寒い 感じでしたが体の芯から温まることができました。空気の澄んだ屋外で食べる食事は最 高でした。猪汁や椎茸をお代わりしてお腹も満タン~・・・帰りの山道の揺れは大丈夫か な? 左:葉枯らしをしている状況 右:すでに切り出しをした山、その後植林を 切り倒した杉に葉を付けたまま放 するそうですが、最初の5年程度は鹿 置すると含水率は50~60%に落 などに苗を食べられてしまうそうで大変 ちます。 な手間をかけて木を育てるとのことでし た。 食事も終え次の見学会場に向かいます。またあの林道を走る~運転手はすっかり 美味しかった食事のことも忘れて車のお腹を擦らない様に必死にハンドルをきります。 それでも「ガリガリ」「パコ~ン」となにかが外れるような音が・・・来たときとは違う林道 を1時間ほど下り天竜川沿いの国道にでました。そこからさらに30分上流に上がり、 TSDRYグループの共同材木置き場の「フォレスト水窪」に到着しました。 葉枯らしをして製材された木材が整然とならんでいます。その材木にもバーコードが付 いていました。伐採した時に付けたバーコードが製材されたあとも付けられていて材木 の履歴が解るようになっています。この置き場で最低半年置かれ「天然乾燥」をしてい きます。含水率は25~30%にゆっくりと落とされていきます。さらに3年ほど寝かせる と20%前後までは落とすことが可能とのことでした。県内産の補助制度がありますが、 その規定は20%以下ですのでかなりハードな設定とのことです。含水率が30%程度 の材木で造った家でも狂いなどの問題はないとのことでした。無理矢理乾かした木材 を使うか?それともゆっくり自然に乾かした木材を使うか?一生に一度の家づくり、設計 も含め有る程度時間の余裕は欲しいところですね。 さて新月伐採のお話です。写真の左の杭が「 新月伐採」で、右がそれ以外の伐り旬に伐っ た杭とのこと。これを同じ場所に1年埋めて い置いたところ「新月伐採」は問題無かった のですが、それ以外の伐採の杭にはシロア リが発生してぼろぼろの状態となっていまし た。月の動きは29.5日サイクルで新月(月 が見えない時)~上弦の月~満月~下弦の 月~新月を繰り返していきます。新月伐採はこのうち下弦の月~新月までの時期に 伐採することを言い、この時期は木の中の「タンパク質」が少ないようでその為に「虫 が付きにくい」「カビにくい」「割れにくい」などの特性があるとのことでした。「新月伐採 」・・・とういうことだったのか?さてホントかどうか?現在静岡新聞の取材を受けて再 度実験を行っているとのことでした。実験結果は静岡新聞の記事になるようです。さて 、次は実際に新月伐採して建てられた家の見学もしてみたいものです。因みに新月 伐採の木材の値段はそれの時期に切られた木材の2割UPとのことです。また12月 に建築士会で安倍川・藁科水系の山林の見学に行く予定です。静岡市に住んでい て本当の地元の木材で家づくりができるのか? ※ご興味のあるかたはまるみ建築工房まで下記のサイトからメールでご連絡ください。 見学ツアーのご案内をいたします。 まるみ建築工房サイト
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| 2006-11-20 14:59
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